あなたに綴る

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アタマが痛い、二日酔いかな まあいいか今日仕事休みだし 目を開ける前に寝ぼけた思考回路を巡らせた。また最終の路線バスに間に合わず地下鉄で帰って乗り換える前に立ち飲み屋に寄って飲んだんだよね えーと、確か隣のお客さんと意気投合して二軒目行って・・あれ?お店覚えてないなあ 目を開けて、二度寝の為に目を閉じた、 っえっ? 全力で腹筋を使って上半身が起き上がった。 誰? 何このドラマで見るようなシュチュエーション!ここわたしの部屋じゃない 45歳バツイチで二人の男の子も育てあげてそれなりの体験はしてきたつもりのわたしは、深呼吸をして状況を整理する。 昨日仕事に着ていたスーツのまま寝ていた、カバンはベッドの横にある。カバンのファスナーは空いていて財布や仕事の資料など無くしてはいけないものがちゃんと入っているのが見えた。 ガンガンと痛む二日酔いの頭で部屋を見回すと20畳ほどの部屋に、対面キッチンがあって整頓されているが生活感がある。 問題はとなりに寝ているこの子、20代? 面倒なことになるのは嫌だな・・ でも昨日飲んでたのって同じ年くらいの人だったはずよね そっとベッドを抜け出してスーツを整えると、彼の顔を見るのにベッドの反対側まで回り込んだ。 最近の若い子はほんと綺麗な顔してるわ ん?酔っ払ってどこかにぶつけた? 少し天パがかった髪が乱れて前髪が上がっていた。おでこと髪の際あたりに突起になったものが左右対称にある。鬼の角? わたしはこの時初めてうろたえた、驚いた拍子にサイドテーブルに肘をぶつけてうずくまった。 「なな姉、おはよー、二日酔い大丈夫?」 やばいよ、肘がぶつかった音で起きちゃったみたい。あー名前言っちゃったんだ。 「お、おはよ」 あ、頭痛いの忘れてた。 彼はゆっくり起き上がると大きな伸びをしてた。 立ち上がるとキッチンに行って500mlのミネラルウオーターを2本出すとこちらに戻ってきて渡してくれた。 「はい」 「あ、ありがとう、で誰だっけ?」 水を飲むのも忘れて聞いた。 「覚えてないの?あーー」 と言った途端に彼がどんどん歳を取り出した。 わたしの肘がまたサイドテーブルにぶつかってうずくまる。 顔をあげて叫んだ。昨日いっしょに飲んでた女々しい・・いやちょっと待って、年齢が。
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