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実は、彼が付き合っていた相手になおざりにされるのは、これが初めてではない。撮られたのは初めてだけど、彼は女性と交際しては、相手の不貞がわかって破局、を何回も繰り返している。その度に僕は、彼のお酒に付き合う。もう、何回同じことを繰り返しているのか、わからない。
「俺は、幸せになりたいだけなのに。」
ポツリと、彼が呟いた言葉。
きっと、誰もがなんとなく思っていることだろうけど、僕の心はギリギリと締め付けられる。僕だって、幸せになりたい。だけど、僕が幸せになると、君は
「なぁ、Mは、俺のこと、好き?」
彼が、顔を上げて、僕を見ている。
潤んだ瞳で、見つめられて、心臓が沸騰しそう。だけど、顔に出してはいけない。表に出してはいけない。今、僕がすることは、一つだけ。
「大好きだよ。」
ふわっと微笑んで、羽毛のように軽く、空気のように自然に。そこに、特別な意味なんて、何にもないみたいに。僕は君のマネージャーで、友人で、ただ、それだけの関係だから。
そんな僕の言葉に、彼はふんわりと笑う。綺麗な彼が見せるそんな笑顔は、花がほころんだみたいだけど、僕の心は大嵐だ。
「ふふ。俺も、大好き。」
心臓が飛び出さないように、僕は、目立たないよう気をつけながら、小さく息を飲んだ。
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