2人が本棚に入れています
本棚に追加
「……どうしてそう、姫様は卑屈になるのです。いつものように堂々となさっていればいいではないですか。幼い時のように、上からものを頼めばいいのですよ。アレをしろ、これをしろ……とね」
「誰のせいだと思ってるのよ!……え、何でわたくしの幼少期を知ってるのかしら?」
「さぁ、オレにはなんのことかサッパリ」
パチリとウインクを飛ばしながら舌をペロっとした彼は、悪戯っ子というより確信犯な青年(イケメン)というイメージだ。勝手な妄想だが。
「……あ、そういえばわたくし、この話をあなたにしていないかもしれないわ」
「え?なんの話ですか?」
「わたくしが婚約する人の話。何故このわたくしが婚約に乗り気なのか、その理由よ」
そう前置いて、わたくしは追憶する。
そう、それはわたくしがまだ幼かった頃の話――。
最初のコメントを投稿しよう!