I always think of you

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 海野町行方岬一ー四。   「この赤い丸のあたりまでお願いします」 「はい、わかりました」  武井はアクセルを踏み込んだ。  駅前から市街地へ、市街地からさらに先へ、黄色地に緑のラインが入ったタクシーは太平洋を臨む閑散とした荒地の上を進んでいく。周囲には幾本もの線が延びていて、不揃いに組まれた煉瓦のように、それでもある程度の規則性を保って交差している。むき出しになった鉄筋や建物の名残のような塊が、かつてこの辺りには住宅街が広がっていたことを主張していた。  武井直人はこの地方都市のタクシードライバーだ。この道を歩んで十年目、この業界的にはまだまだ若手の類に入っているし、実際武井は三十路に突入したばかりだ。  この街でタクシー業を営んでいる者は少ない。そもそもこの街自体が朽ちかけているのだから仕方がない。 「こんなことを聞くのは失礼かもしれませんが、この先にどのようなご用件で?」  武井は客である男に話しかけた。  この先特にこれといったものは何もない。強いて言うなら海があるだけだ。 「いえ、ちょっとした依頼がありましてね」 「依頼?」 「実はですね、私はゴーストバスターなんですよ」  嘘か本当かわからないおどけた口調で客は応えた。
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