終章 キス

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終章 キス

「梔子さんの声、よく通って綺麗だと思う」 沢田君は私の顔をじっと見つめ笑いかける。 思わず涙が零れた瞬間、 「キャアア!」 沢田君が入ってきた扉に女子がいた。 「えと……高……高…」 「高山さん!」 「わ、私、せ、先生に教材を取りに……そ、それで」 沢田君はポケットから何かを取り出し、私に手渡す。 「掛けておいて!」 「サングラス?」 腰を抜かしている高山さんに沢田君は駆け寄り、同様のサングラスを自身も掛ける。 「あ、あの……」 沢田君はさらにペンを取り出し、先端の赤いボタンを押した。すると 発光―― 「君は大きなゴキブリを見て驚いた、いいね?」 虚ろ気な目の高山さん 「はい……」 「沢田君」 「僕の名前は沢田タケルじゃなく、S……MIBのエージェントだ」 ああ、それで私を見てたんだ。 彼が私を観察対象としてしか見ていないと分かり、ひどく落胆した。 「でもね……」 彼は私に駆け寄り、そして腹の口にキスをした。 「梔子さんの事、好きになってしまったんだ」 「えええええええええええ!」 腹から出した事のない声が出る。 「ここにいるとまずい、逃げよう!」 彼は困惑する私の手を引き、教室から連れ出す。 しばらく彼の顔を見て話せそうにない。
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