第5話 月あかり

3/26

29人が本棚に入れています
本棚に追加
/155ページ
   涼介さんは、オレの顔を何かを思うように見つめたかと思うと、おもむろにペンを執った。 『とーる、なんかあった?』 「? どうして?」 『フンイキがかわった』  そう言われて、涼介さんをまじまじと見返した。  本当にこの人の炯眼ぶりには驚かされる。  雰囲気が変わったという言われ方はピンとこないけど、そう思われてもおかしくはない、という心当たりはある。  涼介さんがニッコリと笑う。 『カノジョとうまくいった?』  ――この人、超能力者かも。  降参した気分で、鼻頭をポリポリと掻いた。 「んー、うまくいった、かどうかはわからないけど……うん、とりあえず、少しだけ」  我ながら微妙な答えだと思いながら笑う。 「……電話、してみたんだ」
/155ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加