第5話 月あかり

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「――会いたい」  ふと、そんな言葉が口をついて出た。言ってしまえばそれが一番伝えたかったことのような気がした。 「オレ、鈴に会いたい。ずっと、会いたいって思ってた」  すぐに反応はなかった。それでも構わないと思う。例えしつこいと思われてもいい。オレはただ思うままに言葉を紡いだ。 「鈴と会って顔を見て話をして……一緒に歩いたり、笑ったりしたい。今は……それだけでいい。それだけが、欲しい」  以前から鈴といる時間は好きだった。  楽しかったし幸せだと思っていた。  でも、それ以上に、こんなにも愛しく大切なものだと気付いたのは、その時間を失ってからだ。  鈴に言わなければいけないことはたくさんある。それでも、今鈴に伝えたいのはその言葉だけだった。 「会いたい」  その短い一言に全ての想いを込めた。  後は静けさが耳を打つ。 『……わたしも』  やがて、小さな声が応えてくれた。 『わたしも透に会いたいと思ってた』
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