第5話 月あかり

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 立ち話はなんだからと、なんとなく輪になって3人向き合って座る。涼介さんが早速ホワイトボードをとった。 『まさか、ここでとーるのおねーさんとあうとは思ってなかった』 「オレも」 「図書館からの帰りよ。通り道だもん。――いつも弟がお世話になってます」 「おい……」  そんな白々しい挨拶は止めて欲しい。愛は嫌がるオレをまるで気にした様子もなく、ニコニコ笑っている。  上機嫌この上ない。  まさか、と思うし、あまり考えたくはないけれど。  オレの直感に間違いがなければ……。  涼介さんのこと、愛はどうやら「ロックオン」したようだ。   「全く……面食いめ」 「何か言った? ――で、アンタはここで何してんの」 「だから、涼介さんのバスケを見てたんだって。すっげー上手くてさ」  愛が感心したように涼介さんを見やった。 「そうなんだ。私も見たいな。やって?」  遠慮のないストレートな言葉に、涼介さんは苦笑しながら文字を書く。 『改めて言われるとやりにくいです。また今度とーるといっしょに来たら』  その言葉に姉弟同時に首を振る。 「一緒には嫌だ」  声まで見事に揃った。涼介さんが楽しげに笑う。愛も一緒になって笑った。
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