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立ち話はなんだからと、なんとなく輪になって3人向き合って座る。涼介さんが早速ホワイトボードをとった。
『まさか、ここでとーるのおねーさんとあうとは思ってなかった』
「オレも」
「図書館からの帰りよ。通り道だもん。――いつも弟がお世話になってます」
「おい……」
そんな白々しい挨拶は止めて欲しい。愛は嫌がるオレをまるで気にした様子もなく、ニコニコ笑っている。
上機嫌この上ない。
まさか、と思うし、あまり考えたくはないけれど。
オレの直感に間違いがなければ……。
涼介さんのこと、愛はどうやら「ロックオン」したようだ。
「全く……面食いめ」
「何か言った? ――で、アンタはここで何してんの」
「だから、涼介さんのバスケを見てたんだって。すっげー上手くてさ」
愛が感心したように涼介さんを見やった。
「そうなんだ。私も見たいな。やって?」
遠慮のないストレートな言葉に、涼介さんは苦笑しながら文字を書く。
『改めて言われるとやりにくいです。また今度とーるといっしょに来たら』
その言葉に姉弟同時に首を振る。
「一緒には嫌だ」
声まで見事に揃った。涼介さんが楽しげに笑う。愛も一緒になって笑った。
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