第6話 虹

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「これ、もらってもいいの?」 「うん。でも本当に迷惑じゃない?」  鈴を家に呼んだ理由の一つは、これだった。以前愛にもらった――というより押し付けられたくまのポンさんぬいぐるみ、結局、鈴がもらってくれることになったのだ。 「癒されるかもー」  笑いながら鈴はぬいぐるみをキュッと抱きしめ、その隣に腰掛ける。  あ……やばい。  オレのベッドに、鈴が座る、とか。  勝手にドキドキしながら、ドアに手を掛けた。 「エ、エアコン付けるからここ閉めるけど――いいかな」  思わず声に緊張が滲んだ。  鈴は「うん」と不思議そうに頷き、その次の瞬間、ハッとしたように立ち上がった。 「ご、ごめん!」  慌てて床に座りこむ鈴に、今度はオレの方が慌てた。 「い、いや! こちらこそ、変な意味で言ったんじゃないから! け、決して、そんなつもりはないし!」 「そ、そんなつもりって」 「あ、その、だから……」  お互いに顔を赤くし、言葉を失くして黙りこむ。部屋の温度が一気に2、3度上がったかのようだ。  ハタハタと手で顔を扇ぐ。ふと見ると、鈴も同じようにしていた。そのことに鈴も気付いたのか、二人で顔を見合わせて、ほぼ同時に吹き出した。 「やだな、もう……おかしいね」 「全く――あ、楽にしていいよ」  膝を固く閉じて正座している鈴に言って、持ってきた麦茶とコップを折りたたみテーブルの上に並べた。そうしているうちに、お互いの妙な緊張もほぐれたようだった。
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