第6話 虹

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 手から、握っていたシャープペンが転がり落ちた。  突然の鈴の言葉にただ困惑する。 「え? でも――だけど鈴ちゃんの行きたいところは――」 「わたしは透のいるところに行きたい」  鈴が断固たる口調でオレの言葉を遮る。   「透と同じところ、受けるから」    それは、心臓が大きく跳び跳ねるほど嬉しい申し出だ。  だけど、同時に戸惑いも大きい。 「う、嬉しいけど――でも、鈴ちゃん、行きたいところ違っただろ? そんなことで進路変えたら後悔するよ」 「後悔なんてしないよ」 「するかもしれないだろ」 「しない」 「するって」 「絶対にしないから」 「鈴……」  いつになく強情な鈴に、困り果てて口を噤んだ。  鈴がそのように言ってくれることは嬉しい。一緒にいたいと最初に言ったのは自分だ。  だけど、本当は、鈴のことを思えばこそ、そういうことを理由に目標を曲げて欲しくはなかった。  
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