第1話 晴れ渡る空

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「まったく、毎度ごちそうさん」 「なんだよ、慎吾だって、果歩ちゃん好きだろ?」  果歩ちゃんは慎吾の彼女だ。彼らの交際は高校入学直後からだから、オレたちよりも長く付き合っていることになる。ついでに言うなら、果歩ちゃんは鈴の親友でもある。 「まあ……す、好き、だけどさ」  慎吾はごもごもと答える。その顔が仄かに赤いのは照れているからで、こっちの方が一般的な男子の反応なのかもしれない。照れないオレの方が珍しいのかも。 「でもさ、俺は透ほどそうあけっぴらには言えないな」 「なんで?」 「だって、恥ずかしいじゃんよ。――って、おまえにはわかんねーかなぁ」  ため息を落とした慎吾に、ただ笑った。  好きだということを表現することは恥ずかしい……もちろん、わからなくはない。 「前から聞きたかったんだけどさ、どうして透はそんなに鈴ちゃんが好きなわけ?」 「……なんかさぁ、それって鈴ちゃんに失礼じゃないか?」 「あー、違う違う! そういう意味じゃなくて。なんちゅうかさ……そこまで相手を一途に想えるってのも、すげえなぁって」  頭を掻く慎吾を見やって、オレは小さく首を傾げた。自分が「すげえ」と思われるほど一途だとか考えたこともなかったけど、長く想い続けることを一途というのなら、確かにオレはそうなのかも。  ちょうどその時、目の前を白い蝶々がひらひらと横切って行く。それをなんとなく目で追いながら、自分の「一途さ」について思いを巡らせた。
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