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慎吾が悪戯っぽい笑みを浮かべながら、オレの背にどんとおぶさるように乗りかかってきた。
「うわっ! こら、慎吾! 危ないだろ!」
体勢を崩してそのままべたりと坐り込んだオレに、慎吾がコソコソと言う。
「なるほどー。この夏に、とうとうおまえたちもオトナになったわけだね?」
「――は?」
「鈴ちゃんとヤッたんだ?」
「……」
「で、どうだった? 大好きなコとのエッ……」
「しーんーごーっ!」
ブンッと大きく手を振りかざすと、慎吾はそれを器用に避けて素早く離れた。
「あれっ、怒ってる?」
「おまえはっ! くだらない想像すんなっ!」
立ち上がったオレから逃げるように、慎吾が駆け出して行く。遠慮せずにその後を追った。
周囲にいた後輩たちがクスクス笑いながらオレたちを見ている。前を走る慎吾が楽しげに笑い声を上げる。
その懐かしい感覚に、オレもいつしか大きな声で笑っていた。
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