最終話 明日へのジャンプ

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 深呼吸をしながら、じっと睨みつけるようにバーを見つめた。  その高さは決して高くない。自身が持つ記録よりも何十センチも低い。初心者でも跳ぼうと思えば跳べる高さだ。  それでも、体には緊張が走った。  体調も足の調子も全く問題ない。  跳ぶことにとりたてて恐怖も感じないし自信もある。  ――だけど、それはあくまでもオレが自覚できる気持ちの上でのこと。  怪我をした時の恐怖は、オレ自身が意識できない心の奥底に――そして体にしっかり刻み込まれてしまった。  今までのように、助走から踏み切ってジャンプをする――そのフォームを明確にイメージをしようとするけど、踏切の時点でとうしてもイメージが途切れてしまう。
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