第2話 涙雨

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 瞼の裏に明るさを感じて、うっすらと目を開けた。 「う、まぶし……」  飛び込んできた光から咄嗟に目を腕で庇う。窓のカーテンの隙間から差し込んでいる陽が、ちょうど顔に当たっていた。  眩しいはずだ……。  空いた片方の手で枕元を探り、目覚まし時計を掴み取って時間を確かめた。 「んー……」  七時二十分か……え?   「うわっ、やべ!」  朝練――と焦って体を起こしたところで、ハッとした。  馴染んだ自分の部屋とは全然違う眺め。  どこだ、ここ?  めくり上げた布団を手に掴んだ状態のまま、しばし停止。その間たっぷり十秒弱。  少しずつ、寝起きの頭が働き出してきた。 「あ……」  ここは自宅の一階にある和室だ。いつもは客間として使われている部屋で、普段オレは使わない。昨日は、オレが二階の自室に上がるのが難しかったため、急遽この部屋を使うことになったのだ。
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