第2話 涙雨

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「――そっか……」  すっかり自分の状況を思い出して、気が抜けた。そのまま布団に仰向けに倒れ込む。  そうだった。昨日の練習中、オレは足を怪我して……。  少しだけ首を動かし、自分の右足に目を向ける。布団を丸めて少し高くしてある上に、がっちりと固定された足が投げ出されてある。白い包帯でぐるぐる巻きにされた足を見ながら、でかい長靴でも履かされているみたいだ、とか間抜けなことを思った。 「朝練、行かなくていいんだ……」  そうだ。だから今日は最初からアラームもセットしていなかった。朝練どころか、今日は学校も休む予定だった。 「……クソッ」  日差しから目を庇ったまま、小さく毒付く。
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