第2話 涙雨

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 オレはテレビを消して、手元にあった新聞を手に取った。――が、まともに読む気にはならず、バサバサと乱暴にめくって、結局すぐに脇に置いた。 「愛ー、なんか漫画本持ってきて」 「嫌よ」  にべもない返答にハアっとため息を返す。   「あのさ、怪我人に優しくしよーとか、そういう気はないわけ?」 「優しいでしょーよ、十分。大学休んで病院まで車出してやるってんだから。それとも何? あんた、一人で杖ついて行くかい?」 「うっ……」  病院までは、通常なら歩いて行ける距離でも、この不慣れな松葉杖では辛いものがある。しかも、足はまだ応急処置程度しかされていない。 「……すんませんでした」 「わかればよろしい――透」 「ん? ――んぐっ!?」  振り向いたオレの口に、グイッと何かが押しこまれた。 「少しぐらい食っとけ」 「んんー?」  口からはみ出た分を手に取ってみれば、それは大きなあんぱんだった。 「……ほーお(どーも)」  口に入った分をもぐもぐと噛みながら、ぺこりと頭を下げる。愛は一緒に持ってきたカップをテーブルに置くと、満面の笑顔を浮かべた。
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