第2話 涙雨

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 机の上の資料をまとめてリュックに入れた。立ち上がろうとしたところで「それはそうと」と、ガラリと口調を明るくして、先生がオレに呼び掛けた。 「おまえ、あんまり武市に心配かけるなよ」 「――へっ?」  いきなりここで鈴の話? 「なんで?」 「おまえ、気付いてないだろう? 授業中な、武市よくおまえの方見てるよ。心配そうにね。あれ、無意識なんだろうなぁ」 「えっ?」  鈴が自分の方を見てる? 心配そうに? 「おまえはおまえで、ボーっとして外ばっかり見てるしな。それも無意識か?」 「え? いや……」  焦って頭を掻く。外ばかり見ているつもりなんかないけど――それが本当なら、先生の言う通り、無意識だ。  先生が苦笑する。 「まあ、いちいち生徒の交際に口出す気もないけどな。お互いの足を引っ張るような付き合い方はするなよ」 「や……それは大丈夫です。先生に心配されるようなことはないから」 「余計なお世話だったか?」 「そーですね」  オレは笑って立ち上がった。 「どうもありがとうございました」 「はいよ。――がんばれよ、二条」 「はい」    もう一度先生に頭を下げて、進路指導室を後にした。
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