第1話 晴れ渡る空

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 オレが鈴と一緒に帰ることができるのは、金曜の部活後だけ――つまり、部外者である鈴が練習を見学できる競技場での練習日だけだ。  黄昏の中、他愛のない話をしながら二人でのんびりと歩くこの時間が、何より好きだった。一人の時は鉛のように重い足も、彼女と一緒だとどこまででも歩けそうな気がするほど軽く感じた。  必要以上にはしゃぎたてない鈴の落ち着いた雰囲気が、練習の疲れも忘れるほど心地よかった。  しみじみと「好きだな」と思う。  本当にもう、どうしようもないくらい、彼女に参っている……。  隣を歩きながらも、ついじっと彼女を見つめてしまう。  鈴は決して派手な感じの女の子ではない。髪型もスッキリとしたショートヘアで、色も少しだけ茶色がかった黒。長い髪の毛を武器にお洒落を楽しむ女の子たちと比べれば、まったく飾り気はない。でも、十分にかわいい。  ……うん、綺麗だ。 「――ん? 何?」  鈴が怪訝そうに首を傾げる。慌てて視線を逸らした。 「なんでもないよ」  鈴は「そう?」と不思議そうな顔でまた首を傾げた。  自分が見惚れられていたとは思いもしないんだ。そういう自覚は鈴には薄いようだった。  こういうところが少し不安だ、と思う。他の男子のそういう視線にも、鈴はまるで無頓着だから。かといって、「危機感を持て」というのは違う気もするし……と悶々とする。  オレ、鈴のこと好きすぎるだろ……。  
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