第2話 涙雨

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「よう!」  と、昇降口のところで声をかけて来たのは、慎吾だった。 「よう。って、慎吾、ここで何してんの?」 「おまえ待ってたの。バス停まで一緒に帰ろうぜ」  珍しい誘いだ。 「いいけど。それでわざわざ待ってたの? 何、気持ち悪い」 「ひでえ。いいじゃん、たまにはさ。ところで、おまえ呼び出し食ったんだって?」 「別に悪さして呼ばれた訳じゃないからな。例の、推薦の話が無くなったって話」  慎吾はオレに推薦の話があったことを知っている。隠すことなく言うと、慎吾は「はあ」とため息をついた。 「やっぱそうかぁ。痛いなぁそれ」  オレは軽く笑った。 「わかりきってたことだけどね。――って、まさか、おまえそれ心配して待ってたんじゃないよな」 「まっさか。まあ、気になってたのは否定しないけど」  慎吾はあっさりそう言って頭を掻く。余計な心配だと思いつつも、そんな慎吾の気遣いは嫌じゃない。 「ところで慎吾、部活は?」  慎吾は呆れたように目を見開いた。 「ばっか。もう引退したっつーの。この前の大会が最後だったっしょ」 「――あ、そっか」  オレは今さらのようにそのことを思い出した。全国大会に進めなかった三年は、あの地区大会を最後に引退だったっけ。 「うちの部からインターハイ行けたやついなかったから、全員揃って仲良く引退だ。透、恒例の挨拶にも来れなかったもんな」 「あー悪かったかな」 「いや、別に気にするこたねぇだろ。いつでも顔出せる時に行けばいいんだろうし。コーチも待ってるってよ」 「うん」
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