第2話 涙雨

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「透さ……悔しくね?」 「悔しがっても仕方ないだろ。本番でその記録が出せたかどうかもわからないし」  しばしの沈黙の後、隣から、盛大なため息が聞こえた。 「透、おまえ馬鹿だよなぁ」 「はあ?」  心外な言葉に慎吾を見ると、慎吾は呆れたように肩をすくめた。 「悔しいなら悔しいって言えばいいのにさ。仕方がないだの何だのと笑ってるんだもんなぁ。そんなんだから鈴ちゃんも――」  思わず足を止めた。 「鈴?」  慎吾は足を止めずスタスタと歩く。オレは慌てて隣に並んだ。 「鈴が何?」  慎吾は呆れたように苦笑した。 「ほんっとにおまえって鈴ちゃんのことになったら顔色変えんのな。そんだけ好きなんだったら、俺なんかにいろいろ聞くよか、自分でじっくり考えた方が良いだろ」 「なんだよそれ?」  戸惑うオレに、慎吾はニヤリと笑った。
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