第3話 吹き荒れる風

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「あれ? あんた今日も休み?」  大欠伸をしながらダイニングに顔を出した愛は、オレの姿を見て目を丸くした。学校に行っているはずの時間に、本来ならオレがいるはずがない。 「うん、休み」  短く答えた。オレの格好はTシャツにハーフパンツ。完全に家着だ。 「またさぼり?」  愛の口調はべつに咎めるふうでもない。 「今日も大雨みたいだから。愛は?」 「自主休講。大雨みたいだから」 「真似すんな。そっちこそさぼりじゃん」  ちょうど朝食を終えて、オレはごちそうさまと立ち上がった。 「私はいいのー。単位のこととかちゃんと計算してるもん。でも、あんたは大雨のたびに休みってどうよ。今度からまたお母さんに送ってもらうようにすれば?」  冷蔵庫の中を覗きこみながら愛が言う。オレは顔だけ振り向いて答えた。 「いいよ。中間も終わったし、夏休みまで後少しだし。無理して出席しなきゃいけないほどでもないから」 「ほお。受験生が余裕だねぇ。そういやあんた、どっかの推薦ダメになったって? あてにしてたんでしょうに」  愛はグラスについだ牛乳を飲みながら、視線を投げかけた。その遠慮のない物言いにはため息しか出ない。
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