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「はっきり言うね。もうちょっとオブラートに包むとかさ」
愛はカラカラと笑った。
「オブラートって。私があんたに気を使ってどうすんのよ。なに? あんた実はへこんでたりする?」
自室に戻ろうとしていたのだけど、足を止めて横の壁に寄りかかった。
「別にへこんじゃいないけどさ。全く平気ってわけでもない」
「なるほど……かなり落ち込んでるんだ」
「は?」
ムッとして睨み返した。
「誰もそうは言ってないだろ」
「そう?」
澄ました顔でバナナを剥き始めた姉を見て、それ以上の反論も虚しくなってやめた。ひとつため息をつき、大人しく部屋に戻ろうと体勢を整える。そこへ、愛がまた話しかけてきた。
「ねえ透、足痛い?」
「え?」
怪我をしてからもう一月近く経つ。なんで今さらそれを聞く。
「今はそんなに痛くないけど……なんで?」
「別に。アキレス腱って、切ったらどれぐらい痛いんだろうかとか気になってさ」
そう言いながら、もぐもぐとバナナを頬張る愛は、オレの方を見てすらいない。
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