第3話 吹き荒れる風

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 部屋で一人になると、無意識のうちに大きなため息が出た。  気が滅入る――雨のせいだ。  窓を叩きつけるように降る雨で、外はほとんど見えない。かなりの土砂降りだ。  本格的な梅雨。  とくに今年は雨量が多いようだった。  本当に、どうして今年に限って、だ。  こんなに大雨でなければ、なんとか頑張って学校に行こうという気にもなったのに。  ……なんて、それはたぶん嘘。  学校を休めるということに、オレは心のどこかでホッとしてないだろうか。  今朝も、土砂降りの雨が降っていたことに、休む口実ができたと安心していなかったか?    オレは決して学校という場所が嫌いじゃない。家で一人でいるよりは、学校で友達とワイワイやっている方が好きだ。  だけど、ここ最近はそういう気持ちになれないでいた。
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