第3話 吹き荒れる風

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 つい、投げ出した足を見つめる。  この足の怪我以降、何もかもが上手くいかない気がする。  大学の推薦が消えた――そのことで落ち込んでいるつもりもないけど、愛にも言った通り、全く平気な訳ではない。考えればどうしても気が重くなる。  そして何より、体が思い通りに動かせないことは、考えていた以上にストレスを感じることだったし、当初、仕方がないと吹っ切っていたはずの大会の欠場も、時間が経つにつれ、じわじわと悔しさが滲んできた。  慎吾があんなこと言ったからだ。  悔しいなら悔しいと言えばいい――ほら、そんなことを考えたから、余計にそういう気持ちになってしまったんだ。  ――なんて、こんなの、とんだ八つ当たりだとわかってはいるけれど。   『悔しいとは思うよ。  でも、それを誰かに言ってたところで何になる?』  今さらだけど、慎吾にそう抗議したい。  別に、オレは我慢をしているつもりはない。それを口にしたところで何も変わらないと思っているだけだ。全部、自分の問題なのだし、人と共有するようなものじゃない。  だけど、とも思う。  周りの目には、オレがやせ我慢をしているように映るのだろうか。 「鈴にも、かな……」  
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