第3話 吹き荒れる風

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 オレはいつになく緊張していた。  鈴はそんなオレのことなど知る由もなく、物珍しそうに室内を見回している。 「スッキリしてるね。男の子の部屋って、もっとごちゃごちゃしてるかと思ってた」  鈴の言葉に引きつったように笑みを返した。部屋をじっくり見られるのは、やっぱりどうも居心地が悪い。 「オレ、あんまり物置かないからさ。あの、とりあえず、お茶でも飲んで」 「あ、ごめん! じろじろ見て失礼だよね」  ちろりと舌を出して、鈴が肩をすくめる。愛が用意してくれた麦茶を素直に手にした鈴の姿を見て、緊張がまた少し増した。  ホントに、鈴がオレの部屋にいるよ……。
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