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「え、えーっと。わざわざ来てもらってありがとう。雨、大変だったろ?」
「ううん、大丈夫だった。だいぶん小降りになってきたところだから」
確かに、窓を叩く雨の音は随分穏やかになっていた。
鈴がオレを上目遣いに窺う。
「今くらいの雨だったら、透も学校来た?」
「え? やー……どう、かな」
返答に困っていると、鈴はクスッと笑った。
「ごめんごめん。小雨でも大変だもんね。滑ったりしたら大変だし。うん、無理しない方が正解だね」
鈴は鞄の中をごそごそ探りながら、何気ないように話し続ける。
「雨はやだね。早く梅雨明けたらいいのになあ。透が来ないと寂しいし」
オレは思わず目を丸くした。
「寂しい?」
「うん。みんなも言ってる。透、今日も休みかぁって。つくづく、透って人気者だと思うよ」
なんだ、みんな、か。
「そうかな。まぁ、みんな同情してくれてるだけだろ」
苦笑するオレを、鈴が顔を上げてチラリと見る。でもまたすぐに鞄の中に目を戻して、プリントとノートを数冊取り出した。
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