第3話 吹き荒れる風

15/33
前へ
/155ページ
次へ
「……聞きたいことって、何?」  鈴からの言葉はすぐに返ってこなかった。   じっとオレを見たまま、固く唇を引き結んでいる。どう話を切り出そうか迷っているようにも見える。  だから、オレは先を促すことはしなかった。彼女が話してくれるのを辛抱強く待つことにする。  そのまま、しばらく無言の時間が過ぎた。  不意に、ピカッと窓の外が光った。 「!」  反射的に外を見る。少し遅れてゴロゴロと地鳴りのような音――雷だ。それを合図に、雨がまた強く降り始めた。 「……また酷くなりそうだね」  そんなオレの呟きにも鈴からの反応はない。オレも答えを期待して呟いたわけじゃないから構わなかった。 「透」  ようやく鈴が口を開いた。オレは窓から鈴に視線を戻す。 「うん」 「透……やっぱり無理してない?」  ああ、やっぱりその手の話か……。  驚きはしなかった。薄々予想はついていたいたから。 「鈴ちゃん、前もそんなこと聞いたよね」  オレは落ち着いて答えた。 「オレ、無理なんてしてないよ?」 「……」  黙って見返してくる鈴は、納得など全くしていない顔だ。  何でそんなに頑なになっているんだろう。
/155ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加