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「じゃあさ。オレからも聞くけど、どうして鈴ちゃんはオレが無理してると思うの?」
ピカリ、とまた外が光る。今度は振り向かなかった。鈴は硬い表情で答えた。
「透はいつも笑ってるから。今までと全然変わらない顔で、平気な顔して笑ってるから。何を聞いても大丈夫って。……全然、大丈夫な訳ないのに」
オレはその言葉に苦笑して、小さく首を振った。
「大丈夫な訳ないって……鈴ちゃん、それは決めつけ過ぎだろ。オレは大丈夫だもん」
「そうかな」
鈴はぐいっと身を乗り出した。
「だって、わたし知ってるもん。あの大会の為に、透がどれだけ頑張ったか。優勝狙ってるってはっきり言ってたじゃない」
鈴はこれまで堪えていたものを一気に吐き出すように続けた。
「そんな透が、大会に出られなかったこと、簡単に大丈夫だなんて……そんなふうに思えるとは思えない。でも、透は『ついてなかった』って笑うばかりで、泣き言一つ言わない。わたしには、それが無理しているように見えたの」
「鈴……」
オレは――戸惑っていた。
鈴の言っていることはわかる。
わかるけど、だからと言って、どう答えればいいんだ?
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