第3話 吹き荒れる風

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「何言って……」 「透にとってわたしは何? 一緒にいれば満足なだけの存在? だったらお気に入りの人形でも抱いていればいいっ」 「鈴!」  オレは強く鈴を遮った。その勢いで鈴の体を床へと押し倒してしまう。怒りで紅潮している鈴を間近で見下ろしながら、どうしようもなく苛ついていた。  人形とか、そんなバカげたことを言う鈴に。 ――言わせてしまった自分に。 「人形なんて思ったことない。人形にこんなことしたいとは思わない」  目を見開いてオレを見上げていた鈴の唇に、自分のそれを重ねた。   「やっ、んっ……!」  当然のように、鈴は激しく抵抗した。それでもオレは鈴を逃がさなかった。更に深く唇を重ねて、奪う。  そのうち鈴は抵抗を止め、目を閉じてオレの唇を受け止めた。  何の感動もない、長いキス。  そんな冷たいキスの後、顔を離したオレを鈴は真っ直ぐに見つめてきた。  ひどく冷静な目で。    ふと思う。  鈴のその目に、自分は今どのように映っているのだろう。  一人で焦って苛ついて。  挙句の果てに乱暴なことまでして。  ……オレのこと、嫌いになっただろうか。
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