第3話 吹き荒れる風

24/33
前へ
/155ページ
次へ
 梅雨が明け、雨の降る日も少なくなり、オレがまともに登校を再開したのは、夏休みまであと数日という頃だった。  足の回復は順調で、ギプスも外れ、装具を装着して両足での歩行が可能になっていた。松葉杖はまだしばらく必要だけど、慣れもあってか、登校にもさして不便を感じることはなくなって、そういった面でのストレスはずいぶん減った。  なのに、気分は重いままだった。  鈴と、ずっとまともに話をしていない。  教室で顔を合わせても、ぎこちない挨拶程度のやり取りしかしなかった。 「喧嘩?」と友人に聞かれたけど、それには「違う」と答えるしかなかった。  喧嘩ならまだ良かったのに、と思う。  オレが謝って終わるような喧嘩なら、まだ良かった。  だけど、そうじゃない。    友人と談笑している鈴を目の端に捉え、胸が苦しくなる。  たまらず顔を逸らした。    このまま、鈴はオレから離れていってしまうのだろうか……。
/155ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加