第3話 吹き荒れる風

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 ――時間を置こう、と言ったのは自分だ。  だけど、どれくらいの時間を置けばいいのだろうか。  時間が経てば経つほどに、何も見えなくなっていくようだった。  鈴の気持ちも、自分の気持ちさえもが霞んで見えなくなっていく。    反対に、足は目覚ましい回復ぶりを見せていく。  装具にもすっかりなじみ、松葉杖は片方のみ用心のために使うけど、それが無くても歩くことができるようになった。  たぶん、鈴もそれには気付いているはずだ。だけど、順調な回復ぶりを今は一緒に喜んではくれない。 「遠い、なぁ……」  いつも一緒にいたはずの彼女が、遠くへ行ってしまったような気がした。  中学生の頃、自分の存在さえ知ってもらえていなかった頃よりも、ずっと遠くに鈴がいる気がする。  自分一人がただポツリと取り残されて、鈴はどんどん先を行く。  ……どこで間違ったのだろう。  何を間違ったんだろう。  どうしたら、また彼女に追い付いて、隣を走ることができるかな。
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