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歩こう、と思ったのは、ほんの思いつきだった。
気分転換にもなるし、リハビリにもなる。
学校前のバス停から自宅最寄りのバス停まで、たったの4つ。時間にすれば10分程。徒歩でも30分はかからない道のりだ。
まあ、これは通常の歩行ができる場合の話だけど、今でも時間かければいけなくはないだろう。
――とか思った二十分前の自分を殴りたい。
半分ほどの道のりを歩いて来たところで、オレはすでに後悔し始めていた。
時は真夏。日は西に傾いている時間とはいえ、まだじりじりと焦げ付くように熱い。
さらに、装具をつけた足が、暑さを2倍にも3倍にも感じさせた。
「あっつ……」
汗をぬぐいつつ、横の金網に手をついて立ち止る。
死ぬほど暑い上に、足も松葉杖をつく腕も鉛のように重い。
こんな無茶をして、また切れたらどうするつもりだよ。
「そん時はそん時……なんてね」
冷めきったような、諦めの境地になった自分を笑いたくなった。
滅茶苦茶だ、と思う。こんなことで自棄になったって仕方ないのに。
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