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「バカだろ、オレ」
バンバンッ、という小気味いい音が耳に届いたのは、そう俯いた時だった。
「?!」
反射的に顔を上げた。
その音は一定のリズムで聞こえてくる。ボールをつく音だ、とすぐに気付いた。
「バスケ……?」
体勢を整えて、金網伝いに足を進めた。
その音のする方はちょうど進行方向だったし、ちょっと見てみようと思ったのだ。
すぐに音の正体は目に飛び込んできた。
今まで伝って来た金網の向こうは公園になっていて、そこに小さなバスケットコートがあった。
そこで男が一人、バスケットボールの練習に励んでいた。さっき立っていた場所からは視界が植え込みに遮られていて、見えなかっただけのようだ。
そういえば、公園あったな、とぼんやりと思う。
いつもは自転車で、最近はバスで通りすぎていくだけの道、これまで特に関心を向けることなんてなかった。
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