第3話 吹き荒れる風

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 ボールは、オレのちょうど前で金網にぶつかり止まった。  その人が真っ直ぐオレの方へ近付いてくる。顔には人の良さそうな笑みを浮かべたままだ。おかげで、オレはますますそこを動けなくなってしまった。  改めてその人を見た。  髪は金髪に近いくらいの薄い茶色で、緩くパーマを当てているようにフワリとしている。耳にピアスか何かしてあるようで、西日を受けてキラリと輝いた。  白いTシャツにカーキ色のハーフパンツというラフな格好だけど、どこか華やかな印象――つまり、外見は結構派手め。  だけど、その顔に浮かぶ温和な笑みのせいで、雰囲気は柔らかく感じた。  オレより少し年上、だろうか。 「あの……すみません、黙って見ていて」  声を掛けると、ボールを取るためにしゃがんでいた彼が顔を上げた。  その顔はさっきまでと変わらない笑顔だ。返事はなかったけど、別に怒っている訳ではなさそうだ。ホッとしてもう一度声を掛けた。 「綺麗ですね、プレイ」  正直な感想を述べる。その人はきょとんとしていたけど、一瞬遅れて照れ臭そうに破顔した。
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