第4話 流れる雲

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 オレを公園の中に招き入れた男は、かといってその後もオレに構うでもなく、一人でマイペースに練習を続けた。  オレは傍らに座り、ボーっとそれを眺めるしかない。  本当に、ただ見ているだけ。  でも、退屈を感じることはなかった。  それどころか不思議なほどに惹きつけられる。  彼の無駄のない動きは綺麗で躍動感に溢れていて、見ているだけで心拍数が上がりそうな気がした。  わくわくする。  うずうずする、と言い換えてもいい。  足の怪我がなければ、オレも迷わずコートの中に入り、彼と一緒にボールを追ったかもしれない。  そして、地面を蹴って、高く、遠く跳び上がるのだ。 「――!」  ふと、青空が見えた気がして、ハッとした。  長く忘れていたあの感覚――浮遊感。  バーを越すその瞬間に見えた、青。  思わず上を仰いだ。  そこに見えたのは突き抜けるような青色ではなく、西日のオレンジが混じった薄い色。  だけど――空だ。  当たり前のことだ。それでも、今のオレの目には、それは衝撃的なほど新鮮に映って。 「空……」  そこから目を離すことができずにいた。
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