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「アキレス腱、切っちゃって」
狩野さんは、自分が痛そうに顔を顰めた。そしてまたサラリとボードに書く。
『なんかスポーツやってたの? ガッコーのブカツ?』
頷いた。
「陸上やってました。走り高跳び」
はっきり話そうと思うと、自然と身ぶり手ぶりが大きくなる。そのせいもあるのか、すんなりと通じているようだ。狩野さんの目が大げさとも言えるくらい丸くなった。
『かっこいーね!』
その文字に苦笑する。
「別にかっこよくもないですけど」
狩野さんはそれにも面白そうにクスクスと笑ったけど、突然、ハッとしたような顔をして、またペンを走らせた。
『だからか』
「え……?」
だから?
首を傾げていると、狩野さんは持っていたペンを上を指すように上げた。
「そら」
そう短く声に出す。その後は文字にしてオレに見せた。
『とびたいってカオしてた』
オレは瞬きをして、二度三度とその文字を読み直した。
――跳びたいって顔してた?
「……オレが?」
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