第4話 流れる雲

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     *    *    *  それからオレは、時間のある日はその公園へと足を運ぶようになった。  そして、会ったその日と同じように、オレは狩野さん――涼介さんの練習を眺めながら、空を見上げた。  なぜだろうと思う。  会ったばかりのこの人に、執着する理由はなんだろう。  オレ自身にもわからない。  ただ、ここに来れば、思い出すことができるのだ。  焼け付くような日差しの熱を。  体に纏わりつく風の匂いを。
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