第4話 流れる雲

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『オレ、カンだけはするどいよ。  人が落ち込んでたり悩んでたりするのに、けっこうビンカン。  とーるは、目がくらい。フラフラしてる。  不安でいっぱいってカンジでスサんでて、気になった』  読みながら、思わず唇をかみしめた。  口で言われるより、文字にして見せつけられた分だけ、その衝撃は大きい。  目が暗い。  荒んでる。  ――きっと、全部図星だ。  言葉も返せず黙りこんでしまったオレを見やって、涼介さんはまたサラリと言葉を書き記す。 『でも、声かけた一番のリユーは、  とーるがオレのプレイをキレイっていってくれたから』 「え……」 『ほめられるのは、たんじゅんにうれしい』  涼介はいつものようにニッコリと笑う。  その純粋な笑顔に、ついつられて笑った――その瞬間、オレはハッと思い出していた。  ――透のフォーム、綺麗だね。  いつか、鈴に言われたことがある。  言われた時は照れ臭くて、それでも本当に嬉しかった。だからオレはその時、その嬉しさを隠さずに笑った。そうすると、言った方の鈴も、嬉しそうな笑顔になったのだ。 「……そっか……」  気付いてしまった。  怪我をしてから、一度も鈴のそんな笑顔を見ていない。  それはきっと、オレの方が心からの笑顔を鈴に向けていなかったから。
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