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『オレ、カンだけはするどいよ。
人が落ち込んでたり悩んでたりするのに、けっこうビンカン。
とーるは、目がくらい。フラフラしてる。
不安でいっぱいってカンジでスサんでて、気になった』
読みながら、思わず唇をかみしめた。
口で言われるより、文字にして見せつけられた分だけ、その衝撃は大きい。
目が暗い。
荒んでる。
――きっと、全部図星だ。
言葉も返せず黙りこんでしまったオレを見やって、涼介さんはまたサラリと言葉を書き記す。
『でも、声かけた一番のリユーは、
とーるがオレのプレイをキレイっていってくれたから』
「え……」
『ほめられるのは、たんじゅんにうれしい』
涼介はいつものようにニッコリと笑う。
その純粋な笑顔に、ついつられて笑った――その瞬間、オレはハッと思い出していた。
――透のフォーム、綺麗だね。
いつか、鈴に言われたことがある。
言われた時は照れ臭くて、それでも本当に嬉しかった。だからオレはその時、その嬉しさを隠さずに笑った。そうすると、言った方の鈴も、嬉しそうな笑顔になったのだ。
「……そっか……」
気付いてしまった。
怪我をしてから、一度も鈴のそんな笑顔を見ていない。
それはきっと、オレの方が心からの笑顔を鈴に向けていなかったから。
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