第4話 流れる雲

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 ほんの少しの沈黙の後。 「とーる」  涼介のさんの声に、恐々と顔を上げた。涼介さんはさっきまでと変わらない微笑みを浮かべながら、オレにボードを差し出した。 『さいごの方、よくわかんなかった、ごめん。  でも、にげることがわるいことだとは思わないよ、オレ』 「え……」  オレからボードを取り上げ、涼介さんは続きを記していく。 『たまにはにげてもいいんじゃない? モンダイからはなれてからじゃないと、見えないコタエもあるよ。 それに、オレがとーるの逃げ場になれてたんだったら、むしろコーエー』  オレはそのボードから目を離すことができなかった。  涼介さんの人柄を現したような、大らかな文字からじんわりと伝わってくる何かに、不覚にも胸がいっぱいになってしまう。  涼介さんがオレの肩を力強く叩き、ニッコリと笑った。 『オレが思ったこと、少し言わせてもらってもいい?』 「……うん」  涼介さんはサラサラとペンを走らせていく。  書くスピードはオレよりも格段に速い涼介さんだけど、今回は考えながら時折手を止めて書いているためか、いつもよりも時間がかかった。  それでも、そう待たないうちにボードが渡された。  神妙な気持ちでそれに目を通す。
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