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『ふゆかいだったらゴメン。
オレはとーるの悩みをぜんぶりかいしたわけじゃないけれど。
つらいことがあって、それでも笑っていられるのは、とーるの強さだと思う。
カノジョに笑っていてほしいっていうキモチとか、
自分のつらさよりも、人に対してそう思えることは、とーるの優しさなんだろうと思う。
でも、その強さとか優しさって、反対に、弱さでもあるよね』
「……弱さ」
その呟きを受けてか、涼介さんは迷うことなくすぐにペンを走らせた。
『自分の弱さを人に見せられない弱さ』
「――!」
突き付けられた文字に、目を見開いた。
人に弱さを見せられない……その自覚は、なんとなくあった。
「見せられない」というよりは、「見せたくない」。
だから、それが弱さだと考えたことはなかった。
にも関わらず、痛いところを突かれてしまったかのような衝撃を受けてしまうのは、これもきっと図星だからだ。
涼介さんはオレの表情を探るように窺い、微笑んだ。そして、また新しく言葉を書き出した。
『ホントに、エラそうなこと言ってごめん。でも、もう一つね、オレから言えることがある』
「……うん」
オレは涼介さんが文字を記していくのを、緊張して待った。
涼介さんの言葉は、一つ一つが胸に刺さって痛い。痛いのに、もっともっと、と欲しくなる。
不思議だった。
涼介さんからボードを渡され、息を詰めるようにしてそれを読んだ。
『弱いことは悪いことじゃないし、ハズかしいことでもない。
……って、自分でも思えるようになったら、楽になる』
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