第4話 流れる雲

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「コレ、アンタにあげるわ」 「――は?」    愛は更に笑みを広げた。 「アンタへのプレゼントよー、感謝しなさい」 「はぁ? なんで。いらないよ、こんなの」  当然だろ。  オレにもそういう趣味はない。  しかも、こんな大きなぬいぐるみ、部屋に置いても邪魔にしかならない。全力で拒否だ。  なのに、愛は構わずニコニコと笑っている。 「そんなに遠慮することないって。快く受け取りな」 「遠慮なく、いらないって」 「うわあ、ひっど! 人がせっかく好意で……みゆきー、透がひどいーっ!」  その声に、リビングの中から美雪ちゃんが出てくる。愛の頭をよしよしと撫でて、大袈裟に悲しげな顔をしてオレを見やった。 「可哀想に、愛……。透ちゃん、お姉ちゃんをいじめちゃダメじゃない」  顔を覆う愛と、一見清楚な美雪ちゃんの悲しげな顔に、演技とわかっていても、ついぐらりと心が揺らぐ。 「あのなぁ……」  幼い頃からこの二人に逆らって勝てたためしはない。  決して暴力的ではないけど、この二人はオレの弱いところをよく知っている。  もう、本当に厄介なコンビなのだ……。
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