第4話 流れる雲

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  「あーもう、ハイハイ! わかったよ、もらえばいいんだろ」    これ以上のやり取りが面倒で、頭をガシガシと掻きながら投げやりに言った。  その瞬間、愛と美雪ちゃんは、何事もなかったのようにケロリと顔を上げた。 「あら、そ? 最初から素直になればいいのに。じゃ、これは私たちが部屋にあげてやるわ。その足じゃきついでしょ。ほんっと、優しいお姉さんよね、私」  オレは呆れ半分で大きく息をつく。 「何がお姉さんだよ、ガキじゃんか……」  ふと、さっきまで会っていた涼介さんのことを思い出した。たしか、涼介さんも愛たちと同じ年だった。  その年で、あの落ち着きと包容力。 「すごい差……」 「ん? 今誰かと比べた?」  耳聡く呟きを聞きとった愛が振り返る。慌てて首を振った。 「べつに」  秘密な訳ではなけど、積極的に教えたいとは思わない。  好奇心旺盛な愛のことだ、言えば、「紹介しろ」とか言い出しかねない。
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