プロローグ

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森の向こうに陽が落ちる。太陽の光がなくなると急激に気温が下がり、木々の真っ黒な影が覆い被さってくる。 ぴたりと止まった湖面には、闇が迫った濃紺の空が映し出されていた。 それを虚ろな目で一瞥する男。光のない瞳。彼は足元に視線を落とした。 疲れた体を、湖のほとりの老木に乱暴に投げ出す。 しばらくして森がすっかり夜に覆われてしまうと、彼はその場に力なく座り込み、じっと湖面を見つめていた。
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