1. 空の運送屋

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大きな明るいトーンの声が響く。顔を上げると、緊張のカケラもない人懐っこい笑顔。まるで以前から友達だったかのような気さくな様子に、集まった人々もきょとんとしてしまった。 「今月から航空機で小麦や砂糖を配達することになりました。『ファインスカイ運送会社』のソラ・レイングランドです」 ぽかんと口を開けて突っ立っている村人たちに構わず、ソラと名乗る男は引っ提げてきたカバンから取り出したビラを一枚ずつ配って回った。 子供が描いたと思われる鳥の絵の横には「あなたの荷物を運びます。Fine Sky Carry Company」と印字されていた。手刷りで所々掠れているけれど、愛らしい広告。 戸惑う人々を気にもせずソラは再び機内に戻っていき、機体後部のハッチを開けた。ぽっかりと空いた空間にはたくさんの木箱や麻袋が詰まっている。 その中からロウデリーバレーと書かれた、自分の背丈と同じくらい大きな袋を両肩に一つずつ担いで、斜めのスロープを降りてきた。 みんなが注視する中、その口を開けて札付きの小袋を取り出す。 「じゃあ、順番に配っていくよ。まずはエニングさん。ご主人さんから小麦と砂糖と、それからトウモロコシ粉が届いてます」 女性たちは顔を見合わせ、最後に小太りの女性を見た。 注目の的、エニング夫人が不安そうな面持ちで彼の前に出ると、ソラは笑顔で袋を渡した。それから内ポケット
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