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から縦に二つ折りしたノートを取り出す。それを開いて、端に引っ掛けているペンで印をつけた。
「エニングさん、オーケーっと」
そうして運送屋は順々に名前を呼んでは、おずおずと前に出てきた女性にその袋を渡した。やがてみんなの顔に笑顔が浮かぶ。荷物を配り終えたソラも満足そうに笑っていた。
最後にリーナも自分の順番が来て沢山の荷を受け取った。父親のオムテが買ってくれたものに違いない。袋の口を開けてみると、既に精製された小麦が入っていた。
「そうだ、リーナには手紙も届いてるよ」
ソラはポケットから少しくしゃくしゃになった紙を出して、それもリーナにくれた。見ると、父親の字でリーナと弟のニーテを気遣う短い文章が書かれていた。
「……っ、パパ」
途端にリーナの目に涙が溢れる。まだ子供の頃に母親を亡くしたリーナ。父も身近にいないため、何かあると親戚や近所の人に世話になっていた。
普段は涙を見せない気丈な性格をしていたが、その時はなぜか込み上げるものを抑えることができなかった。
そんなくしゃくしゃの顔で泣きじゃくるリーナの頭を、大きな手が優しく撫でた。
既にみんなより頭一つ分背の高い彼女だったが、ソラはもっと背が高く、見上げると青い瞳が微笑んでいた。その暖かい笑顔のせいで涙はもっと止まらなくなってしまった。
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