1. 空の運送屋

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ちょうど昼食どきだったのもあり、リーナが声をかけるとソラは喜んで付いてきた。近所の高齢の奥さんの所に荷物を届けた後、ソラはなぜか裏戸からやってきた。 「どこの村も大変だね」 ぐるりと家の中を見回してソラはぼやいた。 「どういうこと?」 対面式のキッチンから顔を覗かせるリーナに彼は笑った。 「ここも鉱山時代の宿場町でしょ。この辺に残ってる集落は全部そうだよ。男はみんなロランパークに出稼ぎに行ってる」 「そうなの」 リーナは溜め息混じりに呟いて背を向けた。 キッチンからすぐに美味しい匂いが漂ってくる。手際よくひっくり返される大きなオムレツ。彩り豊かなサラダを添えて、リーナは料理を運んできた。ほかほかの湯気に食欲が唆られたのか、ソラは唾を飲み込んだ。 「昨日の煮物も味が染みて美味しいと思うわ。どうぞ」 「いただきます!」 もう待ちきれないとばかりに、大きな口で料理を頬張る。すぐに彼は歓声をあげた。 「このオムレツ、すんごく美味い!」 皿からはみ出さんばかりの大きなオムレツだったのに、ソラは一口で三分の一を食べてしまった。気持ちのいい食べっぷりにリーナは目を丸くし、思わず噴き出してしまった。 「カーディン牧場のチーズ入りなの。みんな、野菜なんかと物々交換してるのよ。あの人は昔から牛を飼ってて、街には子供達が働きに行ってるの」 その言葉に感心したように頷いた後、ソラはふと真面目な顔で、前のめりになった。 「その牧場ってどこ?」 「え?」 ぽかんとして見つめてくるリーナに、彼はキラキラ輝く目で言った。 「うまくいけば、リーナのお父さんも村に帰ってこれるかもしれないよ」
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