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王城の北図書館
晴れた春の風が心地よく吹く今日、第一王女ノア・ロディ―ド・シュバルツ(12歳)は王城の北図書館にて死にかけていた。
弟の1人、第一王子のギース(7歳)が第三夫人側の勢力によって、昼食に毒を盛られていた。第一王子のギースは第二夫人エフィルダ・ロンジェスタを母に持ち、この第二夫人であるエフィルダ・ロンジェスタは由緒正しい侯爵家の娘であった。この第二夫人のエフィルダ・ロンジェスタは礼儀作法はしっかりしているが、お人好しな性格である。しかし、彼女の爵位が高いため政権争いに巻き込まれ、第一王子は幼いながらに命を狙われていた。その都度、ノアは捨て身で守っていたのだった。
ノアは、毒が入っていることを知りながら、わざと第一王子の食事と自分の食事を入れ替えその食事に手を付けたのだった。
「死にそうだわ。本当に。」
私は、姿勢を正し、イスに座りテーブルに本を広げ、顔に表情を出さずに、かすれた声で隣に控える使用人、ルーシェに伝えた。
「姫様、もっとご自身を大切にされてください。第三夫人のオリヴィア様自身には、全く害はありませんが、オリヴィア様のお父上様はルーメン伯爵なのです。次は何をしてくるかわかりませんよ。」
「わかっているつもりよ。ルーシェ、熱い紅茶を入れて持ってきて。」
ルーシェ・ウルフ(18歳)、第一王女に使える使用人の一人である。黒髪に青い瞳、極めつけは赤ぶち眼鏡が良く似合う青年だ。
「ルーメン伯爵様も困りものですね。料理人を買収し、毒を盛るなどと。第一王子が亡くなっても次期国王は現国王の指名で決まるのに無意味です。」
「まあ、平民の王妃の子に政権を与えるのはどうかと私は思うけどね。」
私がそういうとルーシェは下手な微笑みを浮かべて解毒剤を混ぜた紅茶を私に差し出した。
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