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「え、何で?」
思わず声をだしてしまっていた。
「ですから、本校は進学校を目指すことになりましたので、運動部はすべて廃止です。学校説明会でもお話ししたはずですが」
だって、公立にいくつもりだったので、説明会すらきていません、さすがにこれは言えないのでなんとか声に出さずに堪えた。
「それに、沢渡さん。どうしてですか?ですよ。言葉遣いに気をつけて」
森川先生は手厳しい。
「はい、気をつけます。ありがとうございました」
心の中で舌を出しながら、職員室を出る。
私は沢渡茉奈。びわ湖女子高校の1年生。中学でバレーボールにほぼ3年間を費やし、そのせいで公立高校受験に失敗、滑り止めのここ、通称ビジョコーに入学。もちろん高校生活もバレーボールに青春の全てを捧げようとしていた私に、衝撃の事実が告げられたところである。
「ねえ」
誰かが急に話しかけてきた。
「運動部、すべて廃止だって?」
「そうらしいけど」
と答えながら話しかけてきた子をまじまじと見つめた。
「ダンス部も運動部かな?」
誰だろう。
「あ、ごめん、私、谷村舞。あなたは?」
「沢渡茉奈です」
「茉奈ちゃんね、よろしく」
屈託のない笑顔を向けてきた。
「どうも」
「で、ダンス部も運動部に入るのかな?」
私にどうしろと。
「茉奈ちゃん、聞いてきて」
「私が?」
おもわず声に出ていた。
「お願い、森下先生、無理なんで」
私だって無理だよ。
「わかった。聞いてみる」
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