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波切が叫ぶと、光が強くなる。
思わず目を細めてしまう。
光が収まり波切の方を見やると、波切は髪の長い20歳くらいの女性になっていた。
紫穂「えっ...えっ!!??」
顔も身長も、髪も、全部変わっている。波切は何処へ行ったのかときょとんとしていると、その女性が波切の声で喋る。
波切「どうだい、面白いだろ」
紫穂「み、満島さんなんですか」
波切「そうだよ。君のお姉さんもこんな格好、してなかったかい」
紫穂「......!してました...確かに」
波切「さぁ、来るよ。隠れててね」
紫穂「はっ...はい」
紫穂は少し離れた電柱の影に隠れて様子を見る。
波切はその化物が出た電柱の前を、ゆっくりと通った。
と、波切の足や肩に黒いものが絡む。
紫穂「ひっ...!?」
あの時と同じだ。あのまま、掴まれて引き裂かれる。
紫穂は瞬間的にそう思った。
そしてその通り、その黒いものは掴むようにまとわりつき、肩や足を引っ張った。
紫穂「みっ...満島さ...!」
波切「『人から生まれし人ならざる者共よ』」
波切が本を朗読するように、高らかに言い始める。
波切「『汝等哀しき怪(あやし)に、清めと祓えの儀を致す』」
黒いものが渦巻いている。あの化物が来る。
波切「『誘宵』!!」
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