おまえの血は何色だ?

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「――う、うぎゃあぁぁっ!」 「ぐわぁぁぁぁぁっ!」  目に見えぬ光線を浴びた人間達が、一瞬の内に膨張し、爆発して血肉の小片を周囲に枚散らす……。  彼ら(・・)がいうところの〝マイクロウェーブ〟をより強力にした、我々のごく一般的な携行兵器の作用である。  我々は今、無駄な労力にも抵抗を始めた彼ら地球人を端から駆除していっている。  こちらとしても時間とエネルギー消費の無駄使い限りないのであるが、この超マイクロ波銃のおかげでまだ効率的な処分が行えており、また、死体も原型を留めることなく粉微塵になるので、容易に大地の養分となってその点は後々のためにも好都合だ。  かくいう私も今はホモサピエンスの内の金髪に青い目のタイプに擬態しているが、それは見た目を似せるための外皮だけであり、中身は彼ら原始的生物などとはまるで違う、高度に進化したまったくの別モノである。  地球人達のいう外宇宙――異なる銀河系からこの惑星にやって来た我々は、はるか昔の時代より彼らに擬態して徐々に入植し、この計画が実行される時を待っていた。  即ち、彼ら地友人を絶滅させ、この宇宙全体から見ても稀有な自然環境を持つ天の川銀河太陽系第三惑星を我々の手で保護するプロジェクトである。  もっとも、我々の中にもより平和的な路線を主張し、地球人との共存を訴える者達も初めの内はいた。  しかし、いつまで経っても環境破壊を繰り返し、自分で自分の首を絞めているのにも関わらず、一向に改善の兆しの見えない愚かな人類の姿に共存派の面々もついに愛想をつかした。  この星にとって、彼らは資源を食い潰すだけの害虫のような存在であると全員が疑念の余地なく理解したのだ。  そして、全会一致で評議会の採決がなされ、むしろ予定を前倒しするような形で地球人殲滅計画を実行する運びとなったのである。 「ひるむなーっ! 突撃ぇぇぇーきっ!」  消しても消してもまさに害虫の如く湧いてくる地球人達が、またも実体弾を放つ小銃を耳障りな雑音とともに乱射しながら、無駄な足掻きにもこちらへ向けて押し寄せて来る。  だが、電磁場によって形成した目に見えぬ防御壁により、その弾道は直前で歪められ、けして我々に当たることはことはない。むしろ、その流れ弾が彼らの友軍に当たって被害を拡大するだけだ。
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